新10 1-
307:体育の剣道2/4 8/2 1:31:16.26 ID:Owb6px9M0
「決勝は百合枝と、か」
「何と言う事だ愛しの明人と戦う事になるとは! だが私は手加減はしないっ! 一撃一撃に私の愛を込めて、明人に勝つぅっ!」
「上等だ。俺も手加減は嫌いだ。正々堂々と行かせてもらう」
一通り睨み合った後、百合枝は向こう側へ行った。炎みたいなオーラが見える……。
「進藤、お前大丈夫なのか?」
既に試合に負けてギャラリーになっていた級友が、変な汗を浮かべて話しかけて来る。
「何がだ?」
「あの鳳の相手をすることだよ! 常に精神コマンド【熱血】がかかってて気力無限いってそうな奴を相手にして大丈夫なのか!?」
「百合枝を見くびってもらっては困る。あいつは弾丸X使った後にEXAM起動してイグニッションした上明鏡止水モードになったダンバインくらい強い」
「基準が分からんが激強ってことに変わりないだろ!?」
まぁ、確かに。さらに今回は俺への愛を上乗せしているそうだから並の攻撃力では無いだろう。
多分固形の蛇と互角に渡り合えるんじゃないだろうか? 竹刀一本で。
だがそれも望む所。その強さが百合枝の愛と言うのなら、受け止めない訳にはいかない。
「安心しろ。俺を誰だと思っている? あの鳳百合枝の彼氏だぞ」
面を被り、紐をキツく締める。耳が圧迫されて痛くなるくらい、ギュッと結ぶ。
向こう側には同じく面を被った百合枝が既に蹲踞(そんきょ)をしている。準備万端か……。
篭手の紐を少し緩めて俺も蹲踞をする。準備は整った。
「……はじめっ!」
体育教師の声と同時に立ち上がり、試合が始まる。
先手を打って来たのはやはり百合枝からだった。突進して来るといきなり面を狙って来る。
それよりも早く、俺は降りおりて来る竹刀にタイミングを合わせ、鍔の部分で押し付ける様にして受け止める。
そのまま弾き飛ばし篭手を狙うが、直ぐに百合枝は体勢を立て直して面を狙って来る。
百合枝は面しか狙わない。フェイントの為他の部位も狙うが、本命は面だ。何でも一番気持ちよく叫べるからだとか。
狙いが面と分かっていればそれほど怖く無い。頭を揺らして狙いを付けにくくしつつ攻め込めばいい。
何度かの打ち合いの末、息を整える為に一旦間合いを取る。
「中々やるなぁ明人ぉっ! しかしもうばてたのかあぁっ!?」
「毎日毎日お前の相手してれば、馬だってばてるわ」
「そうかぁっ! 確かに昨夜は激しかったからなぁあっ!」
……エエ、キノウハタノシマセテモライマシタ。
「進藤、お前これ“無事に”終わったら職員室まで来い」

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