新10 1-
308:体育の剣道3/4 8/2 1:31:41.91 ID:Owb6px9M0
体育教師から死刑が宣告された。ああ、そういや先生は生活指導も兼任していたか。
……停学? それとも退学? あ、殺される可能性も考えておかないと
「だから私もばてばてだがああっ! この一撃で終わらせてもらおうっ! 雲葉の太刀、その身でしかと受け止めよおおおおおっ!」
「何か違うぞ?」
しかしモーションは例のあれそのままだった。左手に竹刀を握り、後方に振るともの凄い形相で俺を睨みつける。
途端、左手に握られた竹刀が巨大化した。正確にはそう見えたというのだろう。百合枝の何かが、その幻影を俺に見せるのだった。
「はあああああああああああああああっ!! チェストおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
かけ声と同時に飛び上がる。が、これも幻影か、5mは飛び上がった様に見える。
「一刀、両断んっ!!」
その声と共に振り下ろされる、竹刀と言う名の『死』。
同じ材質では勢いがついている分簡単に砕かれるだろう。手で止めるなんて自殺行為だ。
今身につけている防具で、一番硬い所……面の、金属部分。
「ぐっ!?」
身体を反らせ、檻の様になった金具の部分で百合枝の竹刀を受け止める。
メリメリ、と金属が軋み、遂に砕け散り俺の顔に降り注ぐ。
堪らず、出鱈目に竹刀を振り回して百合枝を振りほどく。篭手の付いた手で、どうにかして面を外した。
その辺に面を放り投げて、深呼吸をする……よし、落ち着いた。
「よく耐えたな明人! お前の執念見せてもらったぞおっ!!」
もう面は無い。面を狙って来る百合枝が相手では今の状態はとても危険すぎる。
速攻で、勝負を決めなければ!
「勝負だ……っ!」
面を被る為に頭に巻いていた手ぬぐいを取り払い。竹刀を身体の横に構える。
狙いは抜き胴。出来るだけモーションを小さくする為に竹刀を出来るだけ横にする。
「面白いっ!! 全身全霊を込めてぇ! お前を迎え撃つぅううううっ!」
再び、百合枝は飛翔。俺は篭手を外し、走り出す。
百合枝が跳躍の頂点に達した時、素早く全ての防具を取り外した。これで、少しは速く動けるだろう。
振り降りてくる竹刀――予想よりも速いっ!?
「めええええええええええええええええええええええええええええええええええええん!」
禍々しいとさえ思うその一撃を、
首をずらした、わずかな動きのみで、左肩で受け止める。

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