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545:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 8/6 8:34:04.28 ID:9kUs6SCn0
>540続き。
俺達は玄関の鍵を順調に開け、(何か可笑しい気がする)やっと目的地の屋上へとたどり着いた。
男「今何時何分だ?」
女友が携帯を開け、時間を確認する。携帯のバックライトが女友の顔を照らし幽霊みたいになってたのは言わないでおく。
女友「えーと、11時30分ね。テレビで言ってた予想時刻は12時30分だからまだまだ時間はあるわよ」
女「星はまだなのかぁぁぁぁ!私は早く願いをかなえたい!!」
男友「まぁ、まだ時間はあるし。ゆっくり行こうよ女ちゃん」
巫女姿の野郎に言われたくない気もするが。
女友「じゃーん!こんな事もあろうかと花火持ってきたんだー」
男友「ぉぉ、いいねぇ。よし、やろうやろう。女ちゃん何がいい?」
女「私はロケット花火だぁぁ!私の男への愛のように燃え上がり、飛んでいくぅ!!」
男「俺は……そうだな。とりあえず線香花火でいい」
男友「イキナリかよ。」
男「好きなんだよ……」
女「ねぇ、男ぉぉ!!一緒に花火しよぉぉぉぉ!!」
そう言いくっついてくる女。胸が俺の腕にフィットしてくる。頭が茹で上がりそうだ。
男「わ、わかった。わかったから離れてくれ。花火が危ない!」
そう言って女を離れさせ、受け取った線香花火に火を点す。そしてその火をずっと俺は眺めていた。
女も俺の前に座り、一緒に線香花火の灯火を眺めている。
その、弱弱しい明かりに照らされた彼女はとても綺麗で。
とても、儚げだった。
束の間の夢の時間。
その時を壊したのは突然の雨だった。
男友「おぃ、雨降ってきたぞ。中入れ!」
女「星は!?星はどうなるんだ!?」
男友「このままだと、見れないかもな。」
女「……ぅぅ」
俺は雨から逃げず、ずっと、屋上に立ち尽くしていた。
何故だろう、このとき俺は何がしたかったのだろう。
何故か動かなかった――否、動けなかった。
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