新10 1-
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「ご馳走様」
彼女は満面の笑みで、僕の言葉に大いに頷く。
「いやぁ、まずいって言われないかとひやひやしたぞォォォォォ!!!」
「いくら僕でも作ってくれたものに対して、そんなことは言わない」
と、思う。
今まで僕を支配していた不安感は露と消えていた。あれは一体なんなんだったんだろう?
「そういえば弁当って、女が作ったんだろ?」
「おう! ちょっと不安だったけど、毎日練習してたかいがあったぞォォォォォ!!!」
そうか。と、僕はいまさらになって気が付いた。
僕が彼女を邪険にしない理由。
僕のためにこんなにも一生懸命頑張っている彼女を、嫌う理由なんて一つも無いからだ。
「ありがとう」
そう、素直に言えたのは何年ぶりだろう。

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