新10 1-
532:2/8 8/15 7:38:13.62 ID:FJb8l+Re0
時間に几帳面な男は、きっちり15分前に駅前にやって来た。女の姿は、まだ見られない。
大抵こうやって集合時間を定めると、女は10分前後は遅刻するのが当たり前だった。
それがよほど嬉しかったのだろう、今回は5分前にはやって来た。
しかも、朝顔の柄の入った浴衣姿で走って。
女「男おおおおお!!!待たせたなああああ!!!」
男「・・・他人のフリ他人のフリ、と」
女「な、ちょっと、男おおおおお!!?ま、待ってくれええええ!!!」
事を荒立てたくない男と、それを無意識で荒立てる女。
通行人が注目したのは当然の事である。
夜店への道中、男はため息をついた。
男「―――ったく、お前はもう少しおとなしく出来んのか」
女「無理だ!!!」
えっへんと胸を張り、満面の笑みで即答する。
まあ、それが女らしさではあるのだが。
男の内心は複雑だった。

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