新10 1-
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男は型抜きに集中している。少しでも気を抜けば、その型は欠けてしまう。
全身にオーラを纏っているように見えるほどほど集中するあまり、周囲は気圧されていた。
型抜きを始めて10分。それは長い長い10分だった。
男はついに最大難度の型「ドラゴン」を攻略した。同時に周囲は拍手の嵐に包まれた。
男「え、あ、どーも。あれ、あいつは・・・?」
男が一通り見渡した観衆の中に女の姿は無かった。
一方、女は男に言われた通りに一人で夜店を回っていた。
だが決して楽しそうではない。元気の源であるはずの男が傍にいないからだ。
気落ちしていると、不幸は続くもの。
女が俯いて歩いていると、向こうから歩いてきた人にぶつかった。
その拍子に女は、草履が脱げて倒れてしまった。
どうやら鼻緒が取れてしまったようだ。
女「男ぉ・・・!」
女はその場に座り込んだまま、寂しそうな声を漏らした。

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