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537:6/8 8/15 8:10:16.13 ID:FJb8l+Re0
女は通行の邪魔にならないように、夜店の外れへと場所を移した。
夜店の明かりを頼りに鼻緒を直そうとするが、不器用ゆえなかなか直らない。
――そうだ、昔にもこんな事があった。
ふと、女は昔の事を思い出した。
小学校ぐらいの時。夏祭りで浴衣を着てはしゃいでいて、転んで、泣いて。
そうだ、あの時手を差し述べてくれたのは――。
そんな事を思い返していると、明かりの中に一つの影が現れた。
男「ったく、帰ってこないから。やっぱりこんな事だろうと思った」
女「男ぉ・・・!!」
男「ほら、草履を貸せ。で、お前にはこれだ」
草履と交換で女の手に渡ったのは、たこ焼き。
あの時と、全く同じ出来事。
幼男「たこやきあげるから泣いちゃだめ。ぼくがなおしてあげる」
幼女「うん・・・。ありがとう」
昔と全く同じ事が今起きた。
女はちょっぴり嬉しくなった。
その時から女の恋は始まったのだから。
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