新10 1-
263:◇+uwaaUcr0 8/17 0:11:18.53 ID:jatCg76A0
(どこだ!どこにいるんだ!?)
(頼む、返事してくれ!)
そう思いながら走り続ける。
ただ、ただ、女のことを思い浮かべながら、走り続けた。
男「はあ、はあ、はあ」
男は、昨日女が通ったと思う行程を何度も探した。
しかし、何も見つからない。
「…はあ、はあ、はあ」
男は息切れし、壁を背に付けてその場に座り込んだ。
「ちくしょお」
男は空を仰いだ。こんな不安な気持ちは初めてだ、そう思った。
不意に女の名前を叫びたい衝動に駆られる。女、出てきてくれ!無事でいてくれ!…という焦燥にも似た叫び。
自分が叫ぶ姿を想像して、男は思い出したかのようにクックと笑い出す。
男「あいつも…同じ気持ちだったのか、な」
好きだああああ!愛してるうううう!女がいつも発する叫びは、男への不安の現われだったのかもしれない。
男は、自分も今、同じだと思った。
男「…ん?」
男はふと、地面に落ちている髪留めに気づいた。
男「これは…あいつの?」
赤い、女を象徴するかのような、髪留め。
男はそれが、彼女のものであると、強烈に意識した。
そして、確信した。女は間違いなくここを通ったのだと。
男「女…女ああああああぁぁぁぁ!!」
男は立ち上がり、叫んだ。
辺りに響く、大きな声で。
男「俺はここいるぞおおおおおおぉぉぉぉ!!!頼む!!答えてくれええええ!!!」

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