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266:◇+uwaaUcr0 8/17 0:22:50.40 ID:jatCg76A0
女は薄汚い部屋で倒れていた。
横にはごろつきのような格好をした連中が4人たむろっており、部屋の中が煙たくなるほど煙草を吸い、麻雀をしている。
そんな中、不意に聞こえてくる、声。
女「…男?」
女は走る激痛を堪えながら、体を起こす。
間違いなく、男の声が聞こえる。
女「男!」
女は何とか立ち上がり、歩きだした。
横にいた一人が声をかけてきたが、耳には入らなかった。
女はドアを開け、外に出る。
男の姿が、小さく遠くに見えた。
女「男おおおおおおぉぉぉぉ!!」
女が叫ぶ。心の底から、本当に、心の底から。
涙が流れる。男こっちを見て、来て、助けて、という感情が入り交じる。
不意に、頭を引っ張られる。
ごろつきの一人が、彼女の髪をつかみ、ひっぱているのだ。
女はドアにしがみつき、叫び続けた。男はまだ気づいていない。
しかし体力の無くなった彼女の握力はもはや無きに等しく、再び部屋の中に連れ戻される。
女「ああ…あああぁぁぁぁああ!!」
女は手を出口に精一杯伸ばす。
しかし、無情にも、そのドアは完全に閉じられてしまった。
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