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306:◇+uwaaUcr0 8/17 1:36:00.97 ID:jatCg76A0
男、ゆっくりと目を開ける。
女「男…男おおおおぉぉぉぉ!!」
男が右を見ると、女の姿があった。彼女の腕には包帯が巻かれ、顔にもシップが貼られている。
男「ここは、病院か」
女「そうだ、あの後、すぐに運ばれたんだぞ…幸いヒドイケガは無いから安心していいって」
男「そうか…」
男は辺りを見渡す。女が男の手を握り側にイル以外はだれもいない。
男「女…ごめんな」
女「ええ!?わ、私こそごめん!こんなケガまでさせて」
男「違うんだ」
男は痛む腹部を押さえながら、体を起こす。
男「俺、お前の気持ち、分かってやれなかった。でも今なら、お前の気持ち、少しは分かる気がする」
女「お、男?」
男は、スッ…と顔を女の胸に埋める。
女「え、えええええええええ???」
男「不安だったんだ…良かった、女、本当に良かった」
女「男…」
女は男を、まるで母が我が子を慈しむかのように、優しく抱きしめる。
女「男は、やっぱり私の王子様だ…私は…わた、しは…うえええぇぇぇ」
女は泣き始めた。不安の中助けを呼び続け、そして実際に男が側にいる…彼女は、改めて嬉しさがこみ上げてきた。そして何より、男の自分への優しさが、嬉しかったのだ。
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