新10 1-
254:Take on me 〜6〜 8/19 15:34:57.16 ID:xle5W2K80
男「・・・なぜ、その話を私めにするのでしょうか?」
父「お前はどうか知らないが、女はお前のことを好いている。それが、女の決心を鈍らせる」
男「・・・・」
父「頼む、ワシの・・・いや、ワシの娘のためだと思って。今夜中にここから出ていってはくれないか?」
男「・・・私の家系は、代々旦那様の執事をして参りました。そして、一度は執事をやめ、社会に出たものの、
それに対応できず、路頭に迷っているところを旦那様が再び呼び戻してくださいました」
父は、無言で男の話を聞いていた。
男「ですから、私のこの身は、すでに旦那様の家系にあるのです。そして、私の役目は旦那様、引いては
お嬢様の幸せ。それを果たすためならば、私は喜んでこの屋敷を出て行きましょう」
父「・・・すまぬ」
男「いえ、旦那様には何も非はありません。再び女財閥が脚光を浴びる日を、私は遠くで祈っております。
長い間、大変お世話になりました」
男は、深々とお辞儀をし、その部屋を後にした。
外に眼をやると、夕日がとても綺麗で、それを女に伝えようとしたが、すぐに思い留まる。
男「今夜は、暑くなられそうだ。お嬢様、お身体に気を付けて」
男は、女のいる部屋に深々とお辞儀をした。
遠くで、ひぐらしが鳴いていた。
今日は用事があるので、続きは今日の深夜か明日の朝一で。
それまでお待ちを。

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