前 次 新10 1- 板 書
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 8/22 16:44:33.30 ID:lVC2TVxZ0
女「ひいじじさまの話によると
この刀はひいじじさまのそのまたひいじじさまのご先祖様の、って言うくらい古いそうだ」
男「ふーん……それにしても随分重そうな刀だな」
女「これは野太刀っていって背の高い人向けの刀らしいんだけど……ご先祖様は女の人だったらしいんだ
それを見て不思議に思った旅人が―――って言ってもご先祖様も行く先々で人助けをする旅人だったんだけど―――
『何故に野太刀を?』って聞いてみたら『私にはこれくらいが丁度良い』って笑いながら語ったそうだ」
男「こんな重い刀だと、男でも中々振り回せないようなもんだと思うんだが……って、その頃って女の人が刀差せるような時代だったのか?」
女「ううん、男尊女卑が普通の時代だった
でもご先祖様は『義を知らぬ腑抜けがいるより刀を提げた女の方が断然イイ』って言ったんだ。さすが私のご先祖様だな!!」
男「随分男勝りな性格だったんだな……で、さっきの詩は?」
女「なんでもそのご先祖様がある時に詠んだ詩らしい
『弱きものを助けてばかりで恋の味を知らぬまま育ってしまった。
次にこの世に生を受けることがあったら、平和な世の中でしっかり恋を楽しみたい』って意味なんだって」
男「弱いものを助けて、ねぇ……」
女「……ご先祖様、平和な時代に生まれ変わるといいねぇ」
男「案外、もう生まれ変わってたりしてな」
女「だとすると、ご先祖様は幸せになれたのかな」
男「なったさ……なってないなら幸せにしてみせる」
女「……?」
男「あれ?お前、それ……」
女「へ?ぬあ!!ご先祖様の刀があああぁぁぁぁ!!!」
悪を断ち、妖を切り伏せた歴戦の野太刀……その刀は、役目を終えたかのように、鞘もろともバラバラになっていた――――――
ttp://www.katsakuri.sakura.ne.jp/src/up17296.png.html
前 次 書
ir ver 1.0 beta2.2 (03/10/22)