前 次 新10 1- 板 書
106:6/11 8/28 4:39:23.11 ID:qAYeYgfG0
女は物陰に隠れて、公園内を覗いた。
そこには、わんわんと吠え続ける子犬と、不良が3人がいた。
傘は折られ、段ボールもボコボコにされ辛うじて箱の姿を留めている。
公園の中心には、蹴飛ばされたのだろう、餌入れが逆さまになって転がっていた。
子犬はそのうちの一人の足に噛み付く。
だが所詮は子犬。非力なのですぐに振りほどかれ、飛ばされてしまう。
そのうち「こいつウゼェ」「蹴り殺せ」などの声が聞こえてきた。
まずい。このままでは子犬が危ない。女はそう直感した。
何かいい方法は無いか、知恵を振り絞って考えた。
そして一つの方法を思いつく。
女は大きく息を吸った。
女「おまわりさーーーーん!!!!こっちでーーーーーす!!!」
効果はてき面だった。不良は蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
公園に残されたのは、泥だらけの子犬一匹。
女は子犬へと近づいた。いつもなら近づいただけで子犬は吠えてくる。
でも、今日は違った。吠える事も追いかけることもしなかった。
それどころか女に近づいて尻尾を振っている。
子犬は女の事を嫌ってなどいなかった。
公園の入り口から、遅れてやってきた男はその様子を眺めていた。
前 次 書
ir ver 1.0 beta2.2 (03/10/22)