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男は女の腕を引き寄せて、抱きしめる。
男「わかってるならここはこらえろ。こらえるんだ。コイツのためにも。
憎しみは憎しみしか生まない」
女「うっ・・・うう・・・・・・グスン」
女「うわぁぁぁああああ!!!」
女は堰を切ったように男の胸の中で泣いた。
男は女の頭を優しくなでる。そして暗くなった空を仰いだ。
私は―――。
俺は―――。
人間は―――。
―――何て無力なんだろう。弱き者を守れもしない。
女はただただひたすら泣いた。
男も空を仰いだまま唇を強く噛んだ。
子犬との、僅かだったけれど楽しかった思い出。
もう、その日々は二度と戻らない。
夕焼けに染まっていた空は、もう暗くなっていた。
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