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862:夏の思い出〜上 9/15 1:41:43.98 ID:HXHqeHI/0
ちょっと遅いですが……残暑見舞いということでお納めを。
女「男ぉぉぉっ!一緒に帰るぞぉぉぉ!!」
放課後の喧騒を切り裂いて、いつものように大音声が木霊する。
男「だが断「ちなみに拒否権は存在しないぃぃぃっ!!!」
男「……少し待て」
いつものやり取り。
暑苦しい夏は過ぎたが、女の暑苦しさだけは最高指数をキープし続けている。
まあ、いつもどおりだが。
学校を出て、いつものように川沿いの帰り道を二人で歩く。
男「だいぶ、陽が短くなってきたな」
女「そうだなぁ!涼しくなってなによりだ!」
男「……」
女「……」
男「女」
女「なんだ?」
男「いや……なんでもない」
女「? そうか」
隣を歩く女に、何故だか違和感を覚えた。
女「……」
答えるだけ答えると、すぐに口をつぐんで、遠くに視線を飛ばしてしまう。
つまるところ……いつになく、静かなのだ。
男「……」
女の視線の先を見やり、ふいと思い返す。
夏休みの半ば頃、男友や女友と一緒に花火で遊んだ場所だった。
あぁ……なるほど。
感傷、ってやつなのかもしれない。

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