新10 1-
863:夏の思い出〜中 9/15 1:47:43.70 ID:HXHqeHI/0
女「男」
ふいに、女が足を止めた。
男「ん?」
女「今年の夏休み、楽しかったな!」
男「……、……、……ああ、とっても」
女「待てぇぇぇいっ!何だその妙な間はぁぁっ!?」
男「気のせいだ」
女「気になるぞ男ぉ!至らないところがあったなら言え!さぁ洗いざらいぶちまけろぉ!」
男「……聞きたいのか?」
女「……っ、その妙に陰湿な視線に危機感……っ!だが!時に亭主の愚痴を受け止めるのも女房の役目!さあ来い!!」
男「心がけは立派だが一部否定だ……たとえば毎日家におしかけてきて器物破損やら食中毒やらの損害を出したり」
女「う」
男「成績上、俺は対象じゃなかったはずの補習に強制連行されたり」
女「うう」
男「宿題が終わらないと泣きついてきて徹夜につきあわされたり」
女「ううう」
男「他にもまだまだあるが……」
女「う、うぬぬ……だがそれも、全て男を愛すればこそぉぉ!」
男「そんな愛は全力でお断りだ」
女「つれないぞ男!ならば、男のこの夏の思い出を30字以内でいますぐ述べよぉぉっ!!」
男「特にない。強いて言えばお前に振り回されっぱなしだった。はい、27字」
いつも通りの切り返しのはずだったが。
女「……っ!」
今日の女は、「いつも通り」ではなかったらしい。

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