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159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 9/16 12:0:59.63 ID:KxSZV0rn0
男「さつま芋チップスは、小学校に上がった俺に対して、祖母ちゃんが頑張って考えてくれたものなんだ。
……友達の家で優しそうなお母さんが出してくれたポテトチップスとか、新しいものを食べるようになった頃さ。
それでか、どうしても干し芋や芋けんぴがださく見え始めたんだ。両親がかまってくれないこともあってさ、友達が物凄く羨ましく見えて。
その内、友達が俺の家に遊びに来た。でも、俺の両親はいつもいない。そこに、いつものように芋けんぴを持って祖母ちゃんが現れたんだ。
その時、初めて祖母ちゃんに反抗してさ……3日くらい口利かなかった。4日目に、祖母ちゃんがこれを作って俺が閉じこもってた部屋に持ってきてくれた。
めいっぱいの笑顔で、これを差し出してくれてさ……なんて言ったと思う?
『ばあちゃん、ださくてごめんな。ほら見てみぃ、こんなもんしか思いつかなかったよ』って……俺はわんわん泣いたよ。ごめんなさい、ごめんなさいって。
両親はいないけど、俺にはこんな優しい祖母ちゃんがい…………」
女「……男ぉ、泣いてるのか?」
男「…………っく、あぁ……泣いてるんだな。俺……」
女「男ぉ……」
男「そんな……優しかった祖母ちゃんがな、一昨日……1人で……誰もいない田舎の家で死ん……」
女「わかった。わかったから、もう泣くなぁぁあぁっ!!!!」
男「…………」
女「っ!!!! モグモグ……! うまい、うまいぞ男ぉおおっ!!!! こんないいお菓子作ってくれるお祖母ちゃんを、なんでもっと早く紹介してくれなかったんだぁぁぁあぁっ!!!!!
うまいぞぉおぉお、男のお祖母ちゃぁあぁぁぁぁあんっ!!!! ああ、もううますぎて全然足りないぞぉおおぉおおおぉっ!!!!! もっとないのかぁぁぁあああぁっ!!!?」
男「…………。……ああ、あるよ。あるとも。待ってろ、今持ってきてやるから、そんなにがっつくな。のどにつかえるぞ」
女「そんなこ……っ!!!!?」
男「ほら見ろ。ああ、もう! 急いで牛乳持ってくる!!」
祖母ちゃん 俺はこの味を絶対に忘れない
それにさ 隣の芋好きな女が気に入ってくれちまったおかげで
以前教わった その作り方まで忘れさせてくれなさそうだ
大好きだった祖母ちゃん どうか安らかに眠ってください
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