新10 1-
32:秋雨と台風〜6 9/15 22:31:59.43 ID:0Missr+M0
男「で、なんで俺のチャリにニケツしてるんだろうか」
女「私は走ってきたからなぁっ!!」
男「……耳元で怒鳴るな。あと声がデカい」
女「風に阻まれて届かないよりマシだろうッ!!」
男「限度ってもんを知れ」
人通りも車通りもない夜道を、二人乗りの自転車が往く。
身体をすり抜ける冷涼な秋の夜風と、虫達の大合唱が耳に届いてくる。
男「……寒くないか?」
女「全然平気だ!何せ男に抱きついてるわけだからなぁ!」
男「愚問だったな」
と、ふいに女が大きく息を吸う気配。そして。
女「男……いいかぁ!?いくぞッ!!」
男「え?」
ぎゅー。
女「あ、あああててんのよぉ!!/////」
男「……、……」
女「……男?」
男「……振り落としていいな?」
とりあえず、ハンドルを思いきり切ってみた。
女「……っにゃぁぁぁぁっ!!殺生なぁぁぁぁ〜!!」
絶妙な車体コントロールで転倒を免れるものの、しがみつく女の腕がさらに強くなる。
当然、付随効果として先程のぎゅー、が再現されるわけで。
女から表情が見えなくてよかった。実に良かった。そう思う。
女「男ぉぉぉ〜何をするかぁぁぁ〜」
男「おイタに対するバツだ」
吹き抜ける涼風が、今はやけに心地よかった。

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