新10 1-
38:秋雨と台風〜7 9/15 22:49:55.33 ID:0Missr+M0
翌日。
今日は女と映画に行くことになってしまったのだが。
女が家に寄ってくれるというので、ぼんやりと降りしきる雨を見やっていると。
女「男ぉぉ!」
男「……なんでいきなり雨に濡れてんだよ」
女「今そこで傘が折れてしまったぁぁぁ!ゆえに、相々傘で二人寄り添い歩いて」
男「うちの傘貸してやるよ……って、あれ?」
家の傘立てが、いつの間にか消えていた。そして、窓からのぞく悪戯っぽい表情。
男「っ、謀られただと……!?」
あとで覚えてろよ妹。その誓いを立てて、再び女へと向き直る。
男「……ちなみにその傘、故意に折った、の間違いじゃないだろうな」
女「!?バカを言うな!この非力な細腕に、そんなクソ力があってたまるものかぁぁぁッ!!」
男「……」
女「なんだ、その疑念に満ちたジト目はぁ!?そ、そんなに私が信用できないのかぁ!!」
必死で弁明する女。まあ真偽はまるわかりなんだが……
男「……はぁ、わかったよ」
手にある一本の傘を開いて、彼女へとさしかけてやる。
男「行こうぜ」
女「おう!!さすが男、ものわかりがいいなぁ!!」
自然な動作で腕を取り、女は俺の脇へと滑り込んできた。
見おろす彼女の表情は満面の笑み。こういうのも――悪くない。

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