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70:秋雨と台風〜11 9/16 1:10:43.22 ID:CjKpOFIs0
翌日の昼頃――
昨晩のアレを極力思い出さないように努めながら、女の家へ向かっていた。雨が降っていて良かった。降り注ぐ雨音に意識を裂けば、余計なことを考えずに済むから。
そんな感じでぼんやりしてる間に、女の家に着いてしまっていた。
女「男ぉぉぉぉっ!!遅かったなぁぁっ!!」
女の方はどこ吹く風、といったカンジだった。こっちが気にしすぎなだけ、なのか?
男「すまん、ちょっと寝過ごしてな」
悶々として眠れなかったとかそんなことは……まあ、あったりするんだが。
女「まぁとにかく!さぁさぁ、入ってくれッ!!母さん、来たぞぉぉぉッ!!!」
男「おじゃまします」
玄関で靴を脱ぐと、居間のほうからひょい、と顔を出す女性。
女母「お久しぶり、男君」
男「どうもです」
女の母上殿だ。何度か尋ねたことがあるので、お互いに面識はある。
女母「昨日も娘がお世話になったみたいじゃない。ありがとねー。大変だったでしょ」
男「ええ、まあ……」
女「こらぁぁぁッ!そこは『それほどでもありませんでした』って答えるのが礼儀だろぉぉッ!!」
女母「いいのよ。正直な人は嫌いじゃないから」
男「お褒めにあずかり光栄です」
女「むぅ……じゃあ、私、ちょっと支度してくるからなぁッ!!首を洗って待っていろぉぉぉッ!!」
そういって、女は居間のほうに姿を消してしまった。
女母「お菓子とか用意してるのよ。もうはりきっちゃって……若いっていいわねぇ」
男「はぁ……」
女母「大丈夫よ。大部分に手は貸しているから、まともに食べられはするはずよ」
男「……ありがとうございます」
女母「どういたしまして。で……二人はどこまで行ってるのかしら?」
男「……っっ!?何、をいきなり……!?」
女母「何って、単純に気になるもの♪まあ、その様子だと行くところまでは行ってないみたいだけど、ね」
破顔一笑。女の部屋で待っててあげて、と言い残し、女母は女の後を追って居間へと姿を消していった。やはり、あの人は心臓に悪いです。
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