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80:秋雨と台風〜12 9/16 2:4:44.93 ID:CjKpOFIs0
久しぶりに入った女の部屋。ただ遊ぶために来たのは、むしろこれが始めてかもしれない。
そんなこんなでぼんやりと部屋を見やっていると。
女「お待たせしたぁぁぁッ!!」
男「いい匂いだな」
女「だろう!!総計4時間の超大作だぁぁッ!!」
女の手のプレートの上に乗っかっていたのはフルーツタルトだった。まともなもの――むしろ立派な出来映えだった。
男「じゃあ、貰うぞ……」
女「お、おう……さぁ!食えッ!!!そして我が愛を噛み締めよぉぉぉッ!!」
女の穴の開くような強烈な視線を受けながら。その一切れを、口に放り込み――
男「……うまい」
女「ほんとかぁぁぁぁぁッ!?ぃよっしゃぁぁぁぁッ!!!」
たかがケーキひとつで、とも思ったが。今まで散々こき下ろされてきたんだから、舞い上がるのも無理はないかもしれない。
男「女も食ってみろよ」
女「おう!いただきまぁぁぁぁっす!!!うおあぁぁぁぁ!!うめぇぇぇぇッ!!」
今にも涙を流しだしそうな剣幕に、思わず笑みがこぼれていた。
自分で作って人に食わせて喜び、自分で食ってまた喜んで。
男「……良かったな、女」
女「ああッ!苦労の甲斐があったぞ男ぉぉぉぉッ!!!」
幸せそうに笑う彼女が――何故だか無性に眩しかった。
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