新10 1-
175:ふたりの未来〜2 9/19 1:5:37.07 ID:YbihP0dV0
女「男ぉぉ!模試の結果、どうだったぁぁぁぁッ!!?」
男「第一志望の合格判定B。そこそこだ」
女「おぉぉ!!よかったなぁぁ!!!」
男「お前はどうだ?」
女「え?あ……あぁ、ははは……」
男「……ダメだったんだな」
女「だが!確実に成績は向上しているんだぞぉぉぉ!!さぁ誉めろぉ!!あわよくばご褒美をぉぉぉッ!!」
いつものやりとり。不自然なところなど何も無い。だが――女の表情には何処か、キレがないのがわかった。
いや――それは多分、俺にも言えることなのだろう。見え始めてしまった未来が、二人の先には横たわっていた。
幸いなことに進路に関しては似通っていたが――俺とアイツには、悲しいかな学力差がありすぎた。
俺が志望したのは、遥か遠方、都会の難関国立大学。彼女の学力では――奇跡でも起こらない限り、手の届かない場所。
お互いに口にはしないがわかっている。この生活が。このふれあいが、もう、長くは続かないことを。
それを理解しながらなお――女は、笑うのだ。
男「そうだな……たまには、いいか。飯でも食いに行くか?」
女「ぃよしッ!!……って、えぇぇぇ!?」
男「なんだ。そんなに意外か?」
女「ぁ、いや、そんなことはないぞぉぉ!!やっほおおぉぉいッ!!!」
別段遠距離でもやり取りする手段はいくらでもある。何を悩む必要がある?
女「男ぉぉぉ!!大好きだぁぁぁぁッ!!!」
男「やかましい」
誤魔化すな。そんなことわかりきっている。俺が、俺自身が。この生活を惜しんでいる。彼女と離れたくない……つまりはそういうことだ。
彼女の傍にいることを選ぶのか。このまま離れることを選ぶのか――まだ答えは、出そうもなかった。

ir ver 1.0 beta2.2 (03/10/22)