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188:ふたりの未来〜9 9/19 1:33:58.06 ID:YbihP0dV0
男「……髪。伸ばしたんだな、女」
女「ああ……久しぶりだな、男」
持っている写真と比べて大人びて見えたが――その雰囲気は、まるで変わらない。
男「そうだな……一年ぶりくらいか」
女「正確には十三ヶ月と二週間くらいだな」
男「ふ……相変わらず、変なところにこだわるんだな」
女「こればっかりは……性分だね、男のことに関してはな」
くすくす、と悪戯っぽく笑う女が、ふいに表情を引き締めた。
女「男……」
男「……ん?」
女「すまなかった。いきなり連絡を断ってしまって」
男「いや。必要だからそうしたんだろう?」
女「ああ……お前に甘えてしまいそうだったからな」
男「何というか今更だな……いくらでも甘えてくれてよかったんだぞ」
女「その気持ちは嬉しいよ。だけど……あのままじゃ、いけないと思ったから」
きゅっ、と両の手を胸の前で握り締め、女は俺をまっすぐに見据えてくる。
女「強くならなくちゃ、いけなかった。男の隣に立つには。あのときのお前が、そうあったように……」
男「……そうか」
女「まぁ……半分は、私なりの意趣返しでもあったんだがな」
男「……正直、堪えたよ」
女「くす……男……ようやく、追いついたぞ」
男「あぁ」
女「だから――今、またこうしてお前に伝えることができる」

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